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個別指導塾 その3

だいぶ昔に分数がまともにできない5年生がいるということを触れたことがありますが
昨今は分数のまともにできない6年生というのも珍しくなくなってきました。

これだけでも十分深刻なのですが最近在った例を揚げて話してみようかと思います。

個別指導塾に通ってから一年以上試験と名のつくものを受けていないという家庭でした。



それがちょうど6年生になった時くらいでして志望校は早慶。
親曰くそれは無理でもその次のランクの付属レベルには入れたいとのこと。
この子は性格的に集団塾についていけずに個別に切り替えてその時点で通塾1年半年くらいという感じでした。
個別指導塾では進度はもちろんややゆっくり目に予習シリーズレベルの5年下の教材、たしか還元算とか相当算あたりを学習中でした。



最初の指導の時に塾の理解度確認のためにその部分を見てみるのですが案の定何も解けません。



そしてすぐに分数の計算ができないことが判明しました。

ちなみに相当算や還元算というのは「持っているお金の7分の3を使ったら残りは2800円でした。初めの所持金はいくらですか?」というように、分数の計算ができないと話になりません。

解かせてみると計算式はおろか、分数の計算そのものがめちゃくちゃなわけです。

7分の3+7分の3=14分の6とか、2分の3×4分の1=6分の2とか、もはやその計算方法を解読するのが困難なくらいめちゃくちゃなことを平気でやるわけです。

個別指導レポート用紙を見せてもらったのですがここ数回はずっと還元算や相当算をやっているわけです。算数は週に一回ということですから実に一か月もの間、分数もわからない段階で意味も分からないまま適当に数をいじるということを授業でしていたことになります。

さて、そうなると百分率や歩合なんてのは言うまでもなくさっぱりです。
もう少しさかのぼって少数から分数の変換なんてのはどうでしょうか。



「0. 1は?分数に直すといくつ・・・?」

「・・・・10分の100。」



という調子でしたのでとにかく家庭教師として始めるのならば分数からきちんとはじめなくてはいけない、ということを伝えました。



初回指導後に改めて保護者と話してみると今の個別から家庭教師に切り替えることも考えていたようです。
ただし、その時点では自分は算数のみ(場合によっては理科)を見るということで伺っていました。
ですから4科目を週に一回みてもらうのかどうか、そこまで考えていたのかどうかは分かりませんが、方向性に関してはどうしても希薄な印象を受けてしまいました。

ちなみに個別では算数国語のみで理科社会は集団授業すら受けていません。

模試を受けていない理由は、「結果が悪いと子供のモチベーションが下がるから」 とのこと。ですがそれじゃあ、残り一年どうしようもないので当然模試などの試験を受けることを強く勧めました。

この状態から早慶レベルというのは至難のわざと言うか、まず前提として目指す下地ができていません。



やる気能力以前にそれが深刻ともいえます。

もちろんそれが深刻といわれても受験を経験したことのないものであれば無理もないですし、それぞれの家庭の状況というのは人それぞれ、責めれる道理はありません。
だが同時に中学受験というものを「知らない」ということが合格への道のりが極めて遠くしているのも事実なわけです。

このケースにおいても個別から家庭教師に切り替えようとしているということはうすうすまずいということには気づいていたのかもしれませんが、それは保護者が想像するよりもはるかにまずい状況であると、断言してもいいのかなと思います。


話を個別指導塾というものにもどしますか。


個別指導塾がいくらフレキシブルであれカリキュラムは存在します。(もちろんその質は以前話したように大手の進学塾のそれとは別です。)
個々人に合わせて多少進度を遅くしたり早くしたりすることはあっても限度があるので、いつまでも同じことを繰り返しやるわけにはいきません。子供の全く学力が伸びていなかったとしても「進んだこと」にしなければいけない場合があります。分数ができなくても割合や相当算を指導しなくてはいけないというのは講師にとってもつらいものかもしれませんが、間違いなく成績降下へまっしぐらです。

定期的にある保護者との面談や、毎授業ごとの連絡帳には保護者から何か言われない限りは良い部分を強調して言いますし「お任せください」というスタイルが一般的です。

任せてもらえれば任せてもらえるほど目に見えて利益につながるから、現状どうであれ最終的に帳尻が合えばいいと思っているのかどうか、それは分かりませんが・・・校舎のトップの見解はどんな状況であれ「お任せください」が一般的だと思います。


その点に関して大手の進学塾ではたとえば講師が現場を一任されている場合はそういう無責任なことを言うことはより少ないですし、早稲アカのように無償で補習をしてくれるところもあります。
実際の室長が授業を持つことも少なくないので「教務と現場」の隔たりは個別に比べて確実に少ないです。



個別では講師と、保護者と直接連絡を取る教務との立場の違いがこういう状況を生んでいると思います。



~~

少し補足を加えると個別指導塾というのはごく少数の正社員の立場の教務がバイトのような講師を現場に配属させるというようなスタイルで根本的に業務内容が違います。

そこの部分を書きだすとこれまたいくらでも書けそうですが、一言主観で言わせてもらうなら個別はうまい商売です。家庭教師のような業務と比べると仲介料にあたる部分はべらぼうな率ですし、現状集団塾のような質の高さはなくとも同等の利益は上げられます。

~~



おそらく一番の理由は保護者を安心させるためだと思いますが、これによる弊害というのは大変深刻です。 直視しなければいけない現実を伝えてしまうと退塾される可能性はありますが、これは家庭の立場から見たら何も知ることができないまま子供の学力はどんどんおいていかれるという事態を招くわけです。



気づいたときには上に挙げたような例に陥るということは決して珍しい話ではありません。

とにもかくにも経営側としてどう持っていくかで客単価あたりの利益がずいぶん変わるので傍から見るとどうしても利潤先行になりがちな印象です。

それがいいか悪いかとかではなく、個別指導塾というのはそういうものだということが言いたいのです。 くどいようですが集団塾でもこういうことはないわけではありませんが印象として率が断然違います。

現実との距離感が測れなくなることが往々にしてある、これが個別指導の怖いところです。



集団授業ではないから比較する相手がなかなかいないのと、教務側から「お子様よく頑張ってます」「大丈夫です、まだまだ間に合います」という言葉を投げかけ続けられると成績が悪くてもピンとこない場合が出てきます。

子供がまずい状況に陥っていないかどうか、計る尺度として指導レポートがありますね。

個別指導では宿題の出来不出来、授業態度、理解度などそういったものが何段階かの評価で書く欄があります。

基本的にこういう欄でいちばん上、もしくは二番目あたりで評価されていない時というのは「かなりまずい」状況だと思った方がいいです。

先ほども書いたように教務というのはよほどのことがない限り通塾する生徒の欠点を指摘して鼓舞しようとすることはないです。宿題、授業の理解度は別として、授業態度が最高評価であるのは前提なのです。(指導レポートは現場の講師が書くのが普通ですが余りに辛い評価だと教務の検閲に引っかかります。因みに僕は連絡ノートに書いたコメントを全部消されて他の言葉に書き換えられた記憶があります。
それに対して教務から注意があったわけではありませんが、書き換えたことについても一言もありませんでした。)


本来、これは子供が塾で何をしているのかきちんと目が行き届いていれば未然に防ぐことのできる事故です。



それだけでも個別指導塾というのはは十分に活用する方法が生まれてきます。





又随分と長くなってしまったので話をいったん切ります。



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プロフィール

shioshioshu

Author:shioshioshu
1980年生まれ 男性
慶応中等部出身
担当教科 主に算数
合格実績 麻布、駒東、ラサール、桜蔭、女子学院、渋幕、渋々、慶応普通部、慶応中等部、早稲田中、渋渋、武蔵、サレジオ、広尾、青学、学習院、浦和明の星 等

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